広島市に1945年8月6日午前8時15分に投下された広島原子爆弾の炸裂により、23歳の日本軍衛生兵が教育隊前の朝礼の集合中に、後方より被爆して赤十字病院に入院した。熱線により頭部に熱傷を被爆して、右の耳たぶは酷い火傷を合併して耳翼は欠損した。右耳は不聴で、左耳は難聴となった。広島原爆による重度の放射線障害を伴って、1945年10月上旬には、頭皮はほとんど脱毛して、下痢、発熱、斑点を伴った。熱傷と放射能障害を合併したが、奇跡的に生還した。
原爆症とは、1つの病名ではなく、原子爆弾の被爆者に頻発する病態を総称している。疫学的に統計学的な有意差がある原爆症の発生の度合いが、顕著に高い。原子爆弾の炸裂による熱射や輻射熱による障害、破壊された家屋等の下敷きなどによる火傷や外傷が、治癒しないで残る場合がある。被爆した時には認められなかった原爆症が、原子爆弾の放射能を多量に浴びて、経時的に発病する場合がある。火傷では、瘢痕やケロイド、拘縮などを引き起こす。放射能による障害は、白血病 甲状腺がんなどが合併する。
原子爆弾の被爆者に認められる白血病は 爆心地から約1,000m以内の至近距離の被爆では、発生頻度も死亡率も、一般市民と比較して、十数倍も高い。原子爆弾の放射能が血液を製造する骨髄に蓄積して、骨髄機能を侵害する。慢性の骨髄性の白血病が著しく頻発する。その他に動物実験、放射能の治療により、発生頻度が高くなるなど、証明された原爆症の根拠から、原爆症の代表的疾患として、白血病、原爆白内障、高度小頭症、肺・甲状腺・皮膚・卵巣がん、ケロイドなどが認知されている。
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