ソマリアの内戦の激化により、1992年8月頃にバイドアにて餓死した子供の死体にハエが群がった。ソマリアで最も人口が集中して流動も高く多様な民族的地域であるバイドアに、大量の難民が殺到した。 多くの難民は飢餓状態となり、無表情に座り込み、横になり、やがて動けなくなった。死体からは糞尿と血の匂いの入り混じった悪臭である死臭が漂った。死体は汚物としてしばらく放置されて、まとめて捨てられた。
アフリカ北東部のソマリアは、1977年からエチオピアとのオガデン戦争により、1980年代初頭から内戦が勃発して継続した。1991年1月に、統一ソマリア会議の反政府勢力が首都モガディシオを制圧した。6月には北ソマリアのソマリランド共和国が分離独立して、統一された政府が樹立されず無政府状態となった。各部族を中心とする軍閥が、群雄割拠した内戦状態に陥った。
1992年になると、内戦の戦闘が激化する一方となった。その夏期には大量の難民も発生した。飢餓による餓死や病死が膨大となり悲惨な状況に至った。1992年に国連から平和維持活動(PKO)が派遣された。1993年10月にアメリカ軍が首都モガディシュの戦闘の惨敗から撤退して、1995年3月には国連PKOも撤退した。2000年8月 にジブチの仲介で,暫定国民政府が成立するも、2003年に崩壊した。2005年1月に周辺諸国の仲介で,暫定連邦政府(TFG)が成立した。2006年6月にイスラム法廷連合(UIC)が中・南部ソマリア地域を制圧し、2006年12月にTFGの要請を受けたエチオピアがソマリアに侵攻した。2012年9月に連邦議会により新大統領に選出されて、21年ぶりに統一政府が樹立した。新政府がソマリアの統合を実現して、秩序の回復は予断は困難である。
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